短い夏が終わりクリスマスマーケットの明かりが灯り始めると、キャンドルを灯しお茶を飲みながら心地のいい家での時間を楽しむドイツの冬の時間の到来です。それと同時にやってくるのが風邪の流行。ようやく集団免疫がつきコロナが『普通の風邪』にきたとはいえ、まだまだ猛威を奮っていますし、インフルエンザにも気を抜けません。そして、どんなに気をつけていてもどこからともなくもらってきてしまうのもこうした感染症にはよくあること。薬の内服で改善できるものもありますが、特に妊娠中の方は赤ちゃんへの影響が心配ですよね。今日は妊娠中に風邪を引いてしまった時にできる薬を使わない対処法をお伝えします。
まず基礎として内服薬(他にもアルコールや放射線など)の影響を受けやすいのは、胎児の重要な臓器を作る臨界期という時期で妊娠初期の妊娠12週くらいまでです。その後は、身体が出来上がっているため薬の内服での奇形を心配する必要はありませんが、それでも内服はなるべく避けたいと思われる気持ちはとてもよく理解できます。妊婦さんご自身の慢性疾患などの健康に関わる薬剤の内服は、かかりつけ医の指示に基づいて継続されるべきですが、風邪の軽い症状には薬に頼らない色々な選択肢を妊娠されている方とそのパートナーの方向けの雑誌から引用してみます。ドイツならではの方法が満載です。
<参考資料:Eltern Schwangerschaft & Geburt Okt.2023-April.2024 P. 28-29>
【鼻風邪:Schnupfen】
・吸入(Dampfinhalation):生理食塩水(9gの塩+水=1L)を蒸気にして吸入する
※熱湯を容器に入れて吸入する方法は熱傷のリスクが高いため、専用機器の使用がおすすめ。
【喉の痛み:Halsschmerzen】
・十分な水分補給 はちみつ入りのお茶が飲みやすい
・うがい:塩水や濃く入れたカモミールティーで
・シュガーレスののど飴を舐める サルビア(Salbei)・メンソール・ユーカリ味
【咳:Husten】
・吸入+お茶を飲む
おすすめのお茶:空咳には、Eibisch-Tee, 痰が絡む咳:Fenchel-Anis-Tee
→飲んでいるお茶が美味しく感じるようであれば数日間そのお茶を飲み続け、その後別のお茶に変更する
・たまねぎシロップ:大きなたまねぎ1つを小さく切りハチミツと共に瓶に入れ最低2時間漬ける。たまねぎを取り出し、残ったシロップを1日1-2匙とる。
・湿布で胸を暖かく保つ:ジャガイモを柔らかく茹で潰し、少し冷ましたものをハンドタオルの中に入れ胸の上にのせる
【発熱:Fieber】
・ふくらはぎを体温-10度のぬるま湯で濡らしたタオルで巻く
※熱で身体が熱い場合のみで、悪寒がある場合は禁忌。
(パラセタモール Paracetamolは内服可能)
また、こちらの雑誌では初めの症状が出始めたら亜鉛(Zink)を摂取することも勧められています。亜鉛の摂取により、免疫力が強化され病気の期間も1-2日短縮してくれるとのこと。
さらに生姜湯も有効で、2-4グラムの生姜を入れた500mlの水を10-20分火にかけ、それを1日3回に分けて温めて飲むものいいようです。それにより汗腺・毛穴が開きやすくなり汗をかきやすくなるんだとか。
もちろん前提としてお仕事をされている方やたくさんの予定を詰め込んでいる方は、自分にゆったりとした時間を回復する環境を調整することも大切です。無理して職場に出て風邪を広めてしまってはかえって迷惑になることもありますので、ドイツ人のように堂々と休みをとりましょう!(日本人にとってこれが難しいのは私も重々わかります・・・が、意外にも自分がいなくても仕事は回りますし、本来そうあるべきだなと思います。)
また、よく上のお子さんが風邪などを引いた場合にどうしたらいいかと聞かれることがよくあります。上のお子さんだけを家の中で隔離して過ごすというのは非現実的ですので、食事・睡眠などで自分の免疫力を維持し、家でできる限りの感染予防(換気・マスクをする・手洗いうがいの徹底など)をしていくことが重要かと思います。いずれにせよ、水分が取れなかったり呼吸が苦しいなどの症状がでたら、迷わず受診をし医師の診断を受けてくださいね。
ドイツでの長い冬、自然の力を借りながら元気に過ごせますように♪
⚠️こちらの記事で引用した方法は自己責任で行なってください。また、思わぬ火傷などの事故やアレルギーなどにはご注意ください。
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