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​​K.K.さん 

  • ドイツに来た背景

夫(日本人)の転職に伴いドイツに移住しました。

 

  • EVKを選んだ理由

家から近く、小児科を併設していたこと、またEVKで以前子宮筋腫摘出手術を受けた経験から、医療体制も安心できると思ったのでEVKでの出産を決めました。

 

  • お産、産後の経過 

初産でしたが、子宮筋腫の摘出手術を受けたことがあったため、予定帝王切開での出産となりました。必要な問診や入院に必要な手続きを前日に外来で済ませ、朝6時半に病院に行きました。病院では、入院する部屋に案内され、手術着に着替えた後、朝一番の手術ということで、すぐストレッチャーで手術室に運ばれました。

 

脊椎麻酔を打ったのですが、10分程経過しても麻酔が効かず、切開予定の下腹部を触られている感覚が残っていました。このまま切られてしまうのではと焦りましたが、結局、手術室のお医者さんたちが上級医の許可を得て麻酔を打ち直しました。この時永田さんが横について、麻酔が効いていないことを冷静にスタッフに伝えて下さって本当に心強かったです。

 

夫は術着に着替え、手術室の外で待機し、私の麻酔処置が終わってから手術室に入って帝王切開の手術が始まりました。夫と永田さんが緊張気味の私の冷たい手を左右から握ってくれてとても心強かったです。手術が始まって、お腹は見えないし感覚もなく、お医者さんにお腹をぐいぐい押されて手術台がぐらぐらしているのは何故だろうと思っていると、はーいお誕生ですよ、おめでとうございますと(ドイツ語で)言われ、赤ちゃんの泣き声が聞こえ、取り出された赤ちゃんを見せられました。あまりの早さに状況が掴めず、私と夫はポカンとしていたと思います。二度目の麻酔処置が終わり夫が手術室に入ってから僅か10分くらいの、とてもスピーディーな出産でした。

 

赤ちゃんはすぐ簡単なチェックを受けて、夫と一緒に手術室から出ました。私は後処置を受け、その後別室に運ばれたところ、夫が上半身裸でベットに横になりお腹に赤ちゃんを載せてボンディング(カンガルーケア)をしていました。

 

  • 入院生活で感じたこと

EVKの医師の方々、また看護師さんたちは、いつもテキパキ動いていて感じがよく、尊敬の念を感じました。

 

  • 困ったこと

生まれた赤ちゃんは夜寝ない子でした。夜中に目を覚まし泣くので、同室の人を起こしてしまうと思い、赤ちゃんが再び眠りについて静かになるまで赤ちゃんをキャスター付きベットに載せ、病棟の廊下、待合室、授乳室や新生児室などを何時間も彷徨いました。退院前日には寝ない赤ちゃんを抱いて待合室で夜が明けるまでトントンしていたことが忘れられません。退院の日まで殆ど睡眠が取れず、酷い頭痛になり、一時的に片耳が聞こえない症状が出ました(退院後、睡眠がとれるようになると治りました)。

 

  • もっとこうしたらよかったと感じたこと

追加料金が発生しますが、入院前にファミリールーム利用の希望を出しておけば良かったと感じました。大部屋もドイツの出産模様を垣間見ることができて興味深いのではないかという好奇心もあり事前にお願いしませんでしたが、同室の人のお見舞いがとても多く、結果とても疲弊しました。出産当日の夜に個室への移動を希望したのですが空きがないとのことで叶いませんでした。ただ、ファミリールームの空きがなく大部屋になっても、私の場合は同室の人が赤ちゃんの誕生日が同じ母子だったので、他のお母さんたちとお喋りしたり赤ちゃんと触れ合う機会があったり文化の違いが垣間見えたりと、それはそれで楽しかったです。

 

夜は赤ちゃんが泣いて自分も眠れないので、昼間はできるだけ睡眠をとるべきだったと思います。夫は毎日日中面会に来て数時間滞在してくれましたが、赤ちゃんは昼間寝ていることもあったので、夫には面会時に必要なものだけ持ってきてもらったら家に帰ってもらい、昼間でもできるだけ睡眠を取った方がよかったのかもしれません。

 

  • 永田さんがいて助かったと思ったこと

私の出産の際に永田さんが手術室に一緒に入って下さったので勇気100倍でした。早く切りたいモードのお医者さん達に囲まれているのに一回目の麻酔が効かなかった時はさすがに心細く、永田さんがいてくれて本当に助かったと思いました。

 

予定日前の帝王切開出産だったせいか、母乳が殆ど出ませんでした。出産後に永田さんが病室に来て、赤ちゃんの抱き方、母乳の吸わせ方、母乳マッサージの仕方などを根気強く教えてくださいました。

 

また、永田さんは、EVKでの研修期間終了後、日本に帰国なさる前に拙宅に遊びに来てくださいました。その際、赤ちゃんの様子を見て育児環境のアドバイスをくださったり、赤ちゃんの沐浴をしてくださって、自分の準備してきたことや育児方法が大方間違っていなかったことが判り、ほっとしました。

 

  • これから生む人へのメッセージ

子宮筋腫と帝王切開で二回入院した経験から、私はEVKを適切な医療を安心して受けられる病院だと思いました。執刀医の先生も看護師さんたちが皆さん親切でした。お医者さんたちは英語で大丈夫でした。看護師さんたちはドイツ語の方がよさそうでしたが、私の拙いドイツ語でもしっかり話を聞いてくれ、安心して要求を伝えられました。また施設も改装されていてきれいでした。そして、現在では頼りになる永田さんが在勤しているので、自分の友人にも自信をもってEVKをお勧めしています。

 

ドイツでは病院食が非常に質素です。EVKでは、朝と夜はパン2枚にジャムやバター、ハムとチーズが付くぐらいで、温かい食事はお昼だけ、それもかなりシンプルなものが提供されます。昼のメニューは選べますが、他の入院患者と同じもので、いわゆるドイツの社員食堂のような食事です。産後は旦那様に日本食の差し入れをしてもらうことをお勧めします。私は毎日夫におにぎりや卵焼き、和食のお弁当などを差し入れしてもらいました。最近ではEVKから徒歩圏内のLorettostrasseに和食のお弁当を売る店もできたので、テイクアウトも活用するのもいいと思います。

 

私は、出産直後から生後一か月ぐらいまで、体は疲弊しているのに眠気を全く感じられなくなりました。赤ちゃんが寝ている間も寝付けないので、段々感情の揺れが制御できなくなって些細な事で激怒してしまうことがありました。産後うつの状態だったと思います。自分でもこれはさすがにおかしいと気づき、家事を完全に夫に任せ、意識して睡眠をとるようにしました。夫は、掃除には自動掃除機、食事には作り置きを取り入れて頑張ってくれました。これから出産を迎える方には、旦那様とよく相談して、産後少なくとも一か月は、掃除・洗濯・食事などの家事を外注・自動化・旦那様にお願いするなどして、自分は赤ちゃんのお世話と睡眠だけを考えればいい体制を作っておくことをお勧めしたいです。

 

永田さんから、日本の助産師資格をドイツの資格に書き換えて、EVKで働き、ゆくゆくは訪問ヘバメもしてみたいという夢を伺ったのは、産後、拙宅に遊びに来て頂いた時だったと思います。その時、永田さんなら絶対やり遂げるだろうし、そうなったら沢山の人に喜ばれるはずだと思いました。そして、永田さんは多くの関門を、何年かかけて努力で突破し、本当にドイツの助産師資格を取り、今EVKで働いています。素敵なホームページも完成し、出産準備や抱っことおんぶのコース、それに産後家庭訪問も準備が整い次第受付開始とのことです。あの時聞いた夢がもうすぐ全部かたちになるなんて凄いことです。永田さんは日本とドイツのお産とケアを熟知し、むちゃくちゃ頼りになります。永田さんに出産準備や産後家庭訪問で係わってもらうことができれば、これから生む方のドイツでの出産育児がきっと安心できるものになるでしょう。

K.K.さんとは分娩室でのPraktikumのときにお会いしました。日本では予定帝王切開の場合は前日入院が当たり前だったので、K.K.さんが前日に術前検査を終えた際に、これから自宅に帰り翌日の朝6時半に来ると聞いたときには本当に驚きました(当時ドイツ語がほとんどできなかったので、K.K.さんに改めて手術の流れを教えてもらいました^^;) 。さらにドイツで将来的にHebammeとして働くことを目標にしていると伝えたところ、K.K.さんのご自宅での退院後のHebammeの家庭訪問に同席させてもらう機会を設けていただきました。この経験のおかげで、『ドイツでHebammeになって産後家庭訪問をする』という目標を持ち続けることができました。こうして夢が叶っていく過程は、私ひとりではできないことだったとつくづく思います。

手術室では麻酔が効かないというハプニングもありましたが、K.K.さんはとても落ち着かれていたように見え、産後の分娩室ではもとても穏やかな時間が流れていたのを今でも鮮明に覚えています。夫婦で協力して試行錯誤されながら育児をされている経験談は、これから育児をする方にとって大きな助けになると思います。

貴重な経験談を書いてくださり、ありがとうございます😊 永田より

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